◆優良賞(14句)

掌中の珠にいつしか見下ろされ (中沢 利郎)

短くも深い一句。自分が大事にしてきたもの(あるいは人)に、いつの間にか立場が逆転している様子が、比喩的で美しい。含蓄があり、読む人によって解釈が変わるのも魅力です。

落ち葉踏み 空気ひしめく 散歩道(PCオタク)

「落ち葉踏み」で音と秋の気配が出ています。「空気ひしめく」は少し抽象的で、解釈に悩む部分もあります。ここをもう少し具体的な自然描写にするとさらに良くなるでしょう。

知らぬ間に 寒さ身にしむ 朝散歩(PCオタク)

しみじみとした季節の移ろいが素直に伝わる句。やや写実寄りですが、「知らぬ間に」の入りで感覚的な共感を引き出しています。もう少し独自性があると印象深くなります。

知らぬ間に 季節は変わり 欅の葉(PCオタク)

「知らぬ間に」がリフレインのように登場し、意図的な作風かもしれません。句としてはやや説明的なので、「欅の葉」の様子にもうひと工夫欲しいです。。

木瓜の花 見てるジジイも 惚け初め (詠み人知れず)

木瓜の花という風情ある景が、ユーモラスに展開する一句。自嘲気味な視点が面白く、読み手をクスッとさせます。「惚け初め」が絶妙な着地点。

朝霧の 立ちこむ川面 鴨遊ぶ(PCオタク)

朝の静寂、霧、鴨の動きがきれいに描かれています。視覚的にも詩的にも優れた一句。安定感があり、映像のような句です。

カラオケ会 歌うの忘れて 飲んで食い(ワン太郎)

川柳寄りの句。場の雰囲気が目に浮かびます。「歌うの忘れて」が中句としてはやや冗長に感じるかもですが、全体に親しみやすく、楽しい句です。


トランプさん 関税ばかりは い関税(かんぜ)よ (詠み人知れず)

韻と駄洒落のバランスが絶妙。風刺を含んだ川柳的な魅力あり。ただ俳句としては季語がないので、ややジャンル外れ気味。

大寒や 夫婦で眺む 孫の舞(暇な老人)

季語「大寒」と「孫の舞」の温度差が感動を呼ぶ句。静かであたたかな家庭の風景が目に浮かびます。とても良い情景句です。

孫の声 夫婦笑顔に 和らげる(暇な老人)

心温まる句。「和らげる」の使い方は丁寧ですが、もう少し具体的な描写があると、句としての力が増します。。


粉足りず 備蓄用で 新蕎麦会(近所のおっさん

日常のちょっとしたハプニングを詠み込んでいて、微笑ましい。生活感があって好きです。

倹しくも 笑顔絶えない 冬の庭(暇な老人)

シンプルながら余韻ある一句。物の少なさではなく心の豊かさを詠みこんでいて、冬の寂しさが逆に温かさを引き立てています。


どんど焼き 意味も知らずに 酔いつぶれ(ワン太郎)

祭りの本来の意味が忘れられ、宴会だけが残る現代の姿を面白く皮肉っています。ちょっと切なくて面白い。

桜咲き ランドセル背う 姪っ子の子 (PCオタク)

「姪っ子の子」という表現がやや説明的で、感情の焦点がやや散りがち。視点をもっと絞ると良くなるかも。